湯沢の漆

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良質な湯沢産漆を
未来につなぐ、
寿次郎の挑戦

寿次郎では、地元・湯沢産の漆によるうつわづくりに、2018年頃から取り組んでいます。自ら漆を掻き、精製し、地ノ粉や顔料などの材料は一切加えず、そのままの純度の地元産漆だけで塗り仕上げたうつわは、原材料すべてが秋田・湯沢産で、ほんのりと赤みある奥深い色ツヤと、しとやかな美しさがが魅力です。この挑戦は、川連漆器の源流を見つめ直し、これからの川連漆器らしさを追求したいという思いから始まりました。

漆をとりまく
環境と取り組み

歴史をさかのぼると川連漆器が発展した理由のひとつに、良質な漆が豊富に採れたことがありました。川連町は、奥羽山脈や栗駒山系の山々が近くにあり、豊かな森林がある自然に恵まれた地域。しかし時代の移り変わりとともに、漆掻き職人は減り、川連だけでなく国産漆そのものが衰退傾向にあります。そうした状況を踏まえ、寿次郎では地元・湯沢産の漆によるうつわづくりに着手しました。漆掻き、精製、塗り、さらには数十年後を見据えて、漆の木を植栽し、漆の調査や研究も行っています。

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漆の採取から、
塗り仕上げるまで

漆が採れるのは、大凡6月から10月にかけた時期。最も暑い時期に採れた漆が良質とされていますが、太陽が登ってしまうと樹液の出が悪くなり木への負担が大きいことから、漆掻きの作業は早朝に行っています。木の表面の鬼皮を綺麗にしてから、その箇所にカンナと呼ばれる専用の道具で傷を付け、そこからにじみ出る乳白色の漆をヘラで一つ一つ採取。1本の木から大凡250cc程しか採れない希少な漆を、丁寧に集めて精製します。湯沢産漆のうつわは、通常の塗りで使用している地ノ粉や顔料などその他一切の諸材料を使わず、漆のみを10回ほど塗り重ね、硬化乾燥と研磨によって仕上げています。

データで見る
湯沢の漆

秋田県湯沢市産生漆/日本産(湯沢市以外)漆/
中国産漆の成分組成比較
秋田県
湯沢市産生漆
日本産
(湯沢市以外)
中国産漆
ウルシオール73.4%67.29%59.97%
ゴム質5.0%5.43%6.71%
含有素物2.2%1.86%2.24%
揮発分
(水など)
17.7%20.47%27.92%
温度20°C・湿度80%における秋田県湯沢市産生漆の乾燥特性
指触乾燥完全乾燥
乾燥時間7.2h10.3h
温度20°C・湿度70%において、24h以上で乾燥しなかった
温度20°C・湿度80%における秋田県湯沢市産生漆
/中国産漆の光学特性比較
秋田県湯沢市産生漆中国産漆
ヘーズ(塗膜の曇り度)56.19%49%
全光線透過量(透明度)15.61%41.8%
秋田県湯沢市産生漆/
日本産(湯沢市以外)漆/
中国産漆の成分組成比較
秋田県湯沢市産生漆
ウルシオール73.4%
ゴム質5.0%
含有素物2.2%
揮発分
(水など)
17.7%
日本産(湯沢市以外)漆
ウルシオール67.29%
ゴム質5.43%
含有素物1.86%
揮発分
(水など)
20.47%
中国産漆
ウルシオール59.97%
ゴム質6.71%
含有素物2.24%
揮発分
(水など)
27.92%
温度20°C・湿度80%における
秋田県湯沢市産生漆の乾燥特性
指触乾燥
乾燥時間7.2h
完全乾燥
乾燥時間10.3h
温度20°C・湿度70%において、
24h以上で乾燥しなかった
温度20°C・湿度80%における
秋田県湯沢市産生漆/
中国産漆の光学特性比較
秋田県湯沢市産生漆
ヘーズ
(塗膜の曇り度)
56.19%
全光線透過量
(透明度)
15.61%
中国産漆
ヘーズ
(塗膜の曇り度)
49%
全光線透過量
(透明度)
41.8%

湯沢産漆の所感について
(有限会社田島漆店 田嶋秀起氏)

  • 1.特徴的なのは弊社で扱った日本産の中でも非常に主成分(揮発分を除いた成分)が高い。通常はだいたい74%から78%ぐらいであるが、本品は82.3%もあった。
  • 2.生漆では硬化に時間がかかる傾向にあるが、精製したものは通常の漆と同程度の20日前後で爪が立たない程の堅牢な状態となる。また、透明度も非常に高い。
  • 3.純度が高く、硬化に時間がかかる為、量が必要とされる「下地漆」や短い乾燥時間を要求される「拭き漆」には不向きであるが、色物の艶消しの「上塗漆」や塗り込む事で艶が増す「呂色漆」には最適である。
  • 4.湯沢産漆は日本の漆器本来の丈夫さ、上品さを実現すると共に、これまでよりも明るい色味の表現も可能となる為、漆器の新たな可能性を感じさせます。

※成分表および所感の内容の無断転載・引用を禁止します

自然に
寄り添い、
原材料として
生かす

漆の木は、一般的な漆を採取したら木を切り倒す「殺し掻き」ではなく、昔から川連に伝わる「養生掻き」で行っています。これは掻いた木を切らずに残し、5年以上休ませてからまた掻くというもので、効率は良くないものの自然のサイクルに寄り添う川連のスタイルです。漆を安定して確保するため木の植栽も行っていますが、植えた木から漆が採れるようになるまでは、およそ15年から20年。時間をかけて木を育てるこの取り組みが、これからの川連漆器らしさにつながると信じ、地道にコツコツと歩みを進めています。