質の良い普段使いの器川連漆器のこと
川連漆器の歴史は古く、今から八百年ほど前、家臣や農民の内職として刀の鞘や鎧など、武具の漆塗りを内職としたことがその起こりと言われています。天下太平の江戸時代の後期には、藩の許可により他国に販路を開き、椀・膳・重箱など、日用雑器としての漆器づくりに移行しました。贅を尽くした沈金や蒔絵などの加飾技法により、近代では漆器の産地として地域経済を支えてきました。数ある産地のなかでも、川連漆器は丁寧で実直なものづくりを守りながら価格は求めやすいため、毎日の器として積極的に使うことのできる身近な工芸品です。使い続けるごとに色ツヤが増していく魅力も、最終仕上げの塗りが厚い川連漆器ならではの特徴。天然木と天然の漆による安心素材で見た目にも美しく、堅牢さと抗菌作用を持ち合わせた本物の漆器です。何時の時代でも手に入る普遍的な素材で手づくりされているからこそ、修理を重ねて永く使えることも漆器の魅力です。良い物を大事に使う。現代にこそ求められる日用品のあり方だと寿次郎は考えます。